
この記事でわかること
- DVD制作に必要な作業 ── 撮影後に待つ膨大な工程と、迫る構造的リスク
- DVDの限界と、VODで得られるメリット ── 「尺」と「コスト」の制限からの解放
- 更なる進化 ── 事業者様に使いやすいサービス
※ 「今回の記事について」から読み始められます
今回の記事について
前回の記事では、行事DVDの購入率を90%まで引き上げるために実践してきた5つの仕掛けについてお伝えしました。
今回は、ピクトミナVODの開発に至った背景を記録します。
DVD制作のどこに限界があり、なぜVOD配信という選択肢にたどり着いたのか。
技術的な話は次回以降に譲り、今回はDVD制作の構造的な課題と、VODプラットフォーム開発の判断に至るまでの経緯をまとめます。
DVD制作に必要な作業
「撮影・編集」以外の膨大な作業
幼稚園や学校でDVDを制作・販売するには、以下のような工程があります。
・DVD販売のお知らせ・チラシの作成:1時間
・撮影・編集:イベントによる
・オーサリングソフトでメニュー画面制作:1時間
・DVD/BD書き出し:3時間
・できあがったディスクを頭から再生して確認:2時間
→途中で不具合が見つかれば、修正してまた最初から書き出しと再生チェック。
・担当者による内容のチェックと修正:数時間~数日
・ 必要な枚数をコピー:数十枚~数百枚:数時間
・ジャケットデザイン、盤面デザインの制作:1時間
・盤面印刷、ケース封入、梱包して、発送:2時間
これは一般的な工程の目安ですが、実際にはこれ以上の時間がかかることも珍しくありません。

撮影、編集。
それだけが「スクールビデオの仕事」ではありません。
現実には、そこに付随する膨大な工程が、製作時間の半分を占めている。
オリジナルジャケットの制作やラベル印刷など、保護者に喜んでもらうための工夫もあります。
しかし、こうした「工夫」と、物理的に避けられない「作業」は別物です。
ディスクコピーや梱包は、ただ時間のかかる「作業」ですし、
外注する場合は、コストがかかる部分になるわけです。
しかも、この作業が行事シーズンに集中します。
運動会が終わったと思ったら発表会、そしてお遊戯会、卒園式。
複数の園を掛け持ちしていると、編集と制作が常に並行して走り続ける。
10月から5月まで、文字通り休みがなくなる撮影業者も少なくありません。
ただしどれだけ忙しくても、業界全体に2つの構造的リスクが迫っています。
「少子化」と「物理メディア時代の終わり」です。
「少子化」と「物理メディア時代の終わり」
スクールに関わる全ての事業者様が正に今直面している問題、「少子化」。
30年前には一学年7クラスあった学校でも、3クラスになったり、
10年前には一学年4クラスあった幼稚園さんも2クラスしかなくなる、なんてことはざらです。
スクールの撮影業者にとっては本当に大きな問題です。
さらには「物理メディア時代の終わり」です。
10年以上前、2015年には「DVD-R」生産の大手、太陽誘電がDVD-R事業から撤退。
2025年にはSONYも「BD-R」の製造から撤退。
さらに2026年にはブルーレイレコーダー事業からも撤退を発表し、業界に大きな衝撃を与えました。
大手DVDレンタル店もとっくに業態を変化させている時代なのに、スクールビデオ撮影業界だけがいつまでも変われずにいます。
「これは、仕組みそのものを変えないと解決しない問題」
DVDの限界と、VODで得られるメリット
世の中はNetflix、Amazon Prime Video、YouTubeの時代です。
映像はストリーミングで見るのが常識になっている。
スクール動画も、VOD――動画配信にすれば、ディスク制作が要らなくなる。在庫を持つ必要もない。発送作業もない。保護者はスマホで買ってすぐ見られる。
先ほど挙げたDVD制作の工程で言えば、オーサリング、ディスクへの書き出し、再生チェック、ディスクコピー、盤面印刷、梱包、発送──これらがすべて不要になります。
ざっくり見積もっても、10時間以上かかる作業が丸ごとなくなる計算です。
これが意味するところはなんでしょうか?
「物理メディア」の大きな欠点である、「尺の制限」と「最低製造コスト」の問題が解消できます。
DVDを制作するには「一定以上の分数(尺)」が必要です。
そして画質の問題から、「一定以下の分数(尺)」である必要もあります。
VODはこの「尺」の制限が一切なくなります。
今までは「DVD作るほどではなかった行事(遠足やお芋ほりなど)」も、VODなら価格を低めに設定することで販売することが出来るようになります。
また「2枚組」にせざるを得なかった長尺コンテンツも、VODには関係ありません。
朝からお昼過ぎまで撮影を行い、その日のうちに編集して、そのままアップロード・販売という、今まで考えられなかったスピードで映像をお届けすることすら可能です。
更には「最低製造コスト」の問題の解消。
DVDでは、撮影・編集に加えてパッケージングまでの工程を踏まえると、安く見積もっても5万円~の「固定コスト」がかかるでしょう。
しかし「撮影・編集・アップロード」で完了するVODはそのコストを半分に抑えることができるようになります。(¥2,500/h ×10hで計算)
するとどうでしょうか?
DVD制作で5万円の製造コストがかかる場合、2000円/枚の場合、26枚売れてようやく黒字です。
しかしVODでコストが2.5万円に下がれば、13枚売れれば黒字、26枚売れれば2.7万円の黒字です。
この「尺」と「コスト」という大きな欠点を解決する手段、それがオンデマンド配信です。

既存サービスを探して回った結果
「じゃあ、既存のVODサービスを使えばいいのでは?」
世の中にはすでに映像配信のプラットフォームがいくつもあります。
しかし「スクールビデオ配信」に適したサービスはなかなかありません。
最もメジャーなY動画サイトは、メンバーシップで有料配信はできますが、動画を1本単位で販売できる仕組みになっていない。
また1つのアカウントで複数の幼稚園を管理できないため、複数アカウントの管理も問題です。
もう少し動画販売に寄った、V社動画配信サービスも同様。
「全世界へのユーザへ配信・販売が可能」というサイト構造のため、「特定の保護者にのみ販売」には向いていない。
「動画とDVD/BDを販売・配信出来て、複数のクライアントごとにアカウントを分ける必要がなく、特定のスクールの保護者にのみ閲覧できる」
これがスクール動画の撮影事業者に最低限求められる機能です。
スクール動画を知り尽くした弊社だから作れる
弊社が撮影業者として「こういうのが欲しかった」と思えるサービス。
そして日本全国の撮影業者が本業――つまり「良い映像を撮ること」――に集中できるようにする。
それ以外のことは、弊社が引き受ける。
そういうサービスを作ることが、ピクトミナVODの目標です。
この開発記録ブログもその一環です。
18年間の現場で培ってきた知見を発信し、同じ課題を抱える撮影業者の方に届ける。
営業トークではなく、実体験の記録で信頼を積み上げていきます。
現場を知っている人間だからこそ伝えられることがある。
その発信が結果として「このサービスを使ってみよう」という判断につながれば、それが最も自然な形だと考えています。
この記事を書いている人が作っているサービス
ピクトミナVODは、撮影業者が行事映像をDVD・Blu-ray販売とVOD配信の両方で販売できるプラットフォームです。現場の声から生まれたサービスの詳細はこちら。
更なる進化 ── 事業者様に使いやすいサービス
ピクトミナVODは、撮影業者が映像をアップロードし、特定のスクールの保護者だけが閲覧・購入・視聴することができるサービスです。
さらに
「DVD・Blu-rayの販売/VODの併売が可」
「データのダウンロード”可”・”不可”設定」
「お取引先の担当者様に動画を送って、ブラウザ上でチェック・修正点のやり取り」
「動画から抜き出したサムネイルの登録」
「サンプル動画のアップロードと、製品ページでの閲覧」
「スクールへの一括配送(送料無料)・個別配送(送料有)の設定」
など、スクール動画事業者の現状を理解した機能を備えています。
また今後追加予定の機能として
「販売用のチラシの自動作成機能」
「動画から自動でサムネイルを切り出す機能」
「サンプル用動画の自動作成機能」
など、撮影事業者様の負担を減らす機能を今後もどんどん開発してまいります。
「いきなりDVDをやめてVODに切り替えてください」という話ではありません。
既存のDVD・Blu-ray販売を続けながら、VOD配信を並行して始められる。
移行のリスクを最小限に抑えられる設計にしました。
撮影業者として長年感じてきた「こうだったらいいのに」をかなりの部分で形にできたという手応えはあります。
「少子化」と「物理メディア時代の終焉」に、いつでも対応できるようにしておくことが重要だと考えます。

撮影業者として思うこと
DVD制作の時代に培った経験は、VODの時代になっても生きると思っています。
前回の記事で書いた「5つの仕掛け」のような、保護者との関係性を作る工夫は、メディアが変わっても本質は変わりません。
VODは「未来の話」ではありません。
ピクトミナVODでまずは1行事からVODの販売を始めてみましょう。

